TAMASHII NATIONS PRESENTS シネトイ魂!

杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.7
「S.H.Figuarts アベンジャーズシリーズ」

2020.11.27

“アメキャラ系ライター”杉山すぴ豊氏が、独自の視点からシネトイ(洋画フィギュア)を語ります。

気に入ったヒーロー映画やモンスター・ムービーのキャラを手元においておきたいという人は多いハズ。BANDAI SPIRITSのコレクターズアイテムブランド「TAMASHII NATIONS」さんの洋画フィギュアはまさにこうした願いをかなえてくれます。その魅力を映画ライターの視点で語っていきたいと思います。

今回はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)人気を不動のものにした『アベンジャーズ』(12年)からアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ハルク、そしてソーの4人が登場です!

杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.7 <br />「S.H.Figuarts アベンジャーズシリーズ」

  • 杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.7 <br />「S.H.Figuarts アベンジャーズシリーズ」
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  • 杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.7 <br />「S.H.Figuarts アベンジャーズシリーズ」
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いまや知名度を得たアベンジャーズですが、恐らく2012年より前は、少なくとも日本では、本当に“知る人ぞ知る”存在だったと思います。2012年の映画『アベンジャーズ』の大ヒットによって、一躍その名がしれわたりました。

僕がアベンジャーズのことを知ったのは、ちょうど40年前の1980年。
当時、光文社さんからポップコーンというコミック誌が出ていて、そこにマーベル・コミックの翻訳がいくつか掲載されていたのです。
作品のセレクトと翻訳、そしてコラムの形でマーベルについて紹介してくれたのは小野耕世さん。日本におけるアメコミ、海外コミック研究の第一人者であり、この方が日本にアメコミを紹介したといっても過言ではないでしょう。そのコラムの中でアベンジャーズが紹介されました。

アベンジャーズは1963年に刊行。すでにデビューしていたソー、ハルク、アイアンマン、アントマン&ワスプらのヒーローがチームを組み邪神ロキと戦う、というものです。
結成エピソードはすごく面白くて、もともとロキがハルクを操り大混乱をまき起こす。それに気づいた少年たちが別のヒーローであるファンタスティック・フォーに無線で助けを求める。ところがその時ファンタスティック・フォーの面々は宇宙にいて無線を聞いていない。代わりにこのメッセージを聞いた他のヒーローたちが集まり、せっかくなんで一緒に戦うかと(笑)。これがチームのオリジン(誕生秘話)です。
このプロットを読んで「あれ?」と思われるかもしれませんが、この時キャプテン・アメリカはまだ参加していません。後にアベンジャーズの面々が氷漬けの彼を発見し仲間に入れる、という設定になっています。

小野耕世氏はアベンジャーズについて、まずこのヒーロー・チームがいわゆる“グループ・ヒーロー”ではなく、あくまで“違った個性を持ったヒーローの集まり”でることが面白く、それ故ヒーロー同士がお互いの個性や価値観でぶつかりあう人間味が面白いとしています。そしてマーベルのコミック史においてアベンジャーズの最大の貢献は、キャプテン・アメリカを現代によみがえらせたことだと。

もともとキャプテン・アメリカは1941年に生まれたクラシック・ヒーローで、いわゆるマーベルのヒーローではまだなかったのです。しかしこのアベンジャーズを通して、この伝説の英雄をマーベル・ユニバースに組み込み、復活させたのですね。

以来、アベンジャーズはマーベルにおける人気タイトルとなります。
というわけでアメコミが好きな人の中では当然アベンジャーズの知名度はありましたが、逆にその存在を知っている方ほど“さすがに映画化はされないのでは?”と思っていたのではないでしょうか?(かくいう僕もその一人です)。
というのも繰り返しになりますがアベンジャーズは『ヒーロー戦隊 アベンジャーズ』みたいにいきなり映画化は難しく、中核となるヒーローたちをまず映画化して紹介していかなければ面白くありません。
あのヒーローたちが集まる!というドリーム・チーム的な高揚が重要だからです。ということは少なくとも10年かけて『ゴジラ』(1954年)、『空の大怪獣ラドン』(1956年)、『モスラ』(1961年)を経て『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)に至るみたいなことを、ハリウッドで実現するわけですから。
でもそれを本当にやってしまった!(笑)。
だから『アイアンマン』(2008年)のおまけシーンでサミュエル・L・ジャクソン演じるニック・フューリーが現れ“アベンジャーズ”の名を出した時、心の底からビックリしました!やるつもりなんだ!って。
ファンとしては嬉しいの一言ですが、余計な心配もしてしまいました。なぜなら『アイアンマン』はヒットしたけれど、映画で『アベンジャーズ』を実現するためには少なくともその前にキャプテン・アメリカ、ソーの映画を作ってある程度ヒットさせなければなりません。でもそれは杞憂に終わりました。
映画館で『アベンジャーズ』を観た時に、ヒーロー映画としての面白さはもちろんですが、まさかこれがスクリーンで観られるなんて!とそのこと自体の奇跡に感激した覚えがあります。

さて、今回のご紹介アイテム、映画からの主要キャラのフィギュアになっています。
実はMCUでは、回を重ねるごとに目あたらしさを出す必要があるからちょっとずつ主要キャラの衣装とか変えているし、また俳優さんもだんだんその役が板についてきます。
だからこそ『アベンジャーズ』1作目のヒーローたちは、一番コミックのイメージに近い外見だし、また役者たちもういういしいので、デビュー仕立てのヒーロー・チーム的なフレッシュさがあります。
 
例えばソーは『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』(2015年)の時は他のヒーローたちと顔なじみなので妙につっぱってないし、また『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)では短髪、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)では太っちょです(笑)。
従って長髪で凛々しく、まだ人間たちと距離を置いているがゆえの緊張感=鋭い表情をしているのは『アベンジャーズ』の時のみ。そのソーをこのフィギュアは堪能できます。

杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.7 <br />「S.H.Figuarts アベンジャーズシリーズ」

さらにソーの“振り回すムジョルニアの様子”がまさかの付属パーツに!(ソーはムジョルニアをふりまわす、その遠心力で空を飛ぶので、この回転の様子はすごく大事なのです)

杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.7 <br />「S.H.Figuarts アベンジャーズシリーズ」

また、今回のソーのフィギュアはマント(ケープ)が布製だということです。
アメコミ・ヒーローの大きな特長の一つにマントの存在がありますよね。
あるコミック・アーチストが、マントのたなびき方と主人公の感情というのはリンクしている、みたいなことを言っていました。
だからマントは非常に重要な主人公の一部なのです。
宙を舞うソーの躍動感や王子としての気品を再現するのにマントは欠かせません。
布ですから自由にいじって演出してみてください。
たなびき方を少し変えるだけで、フィギュアがちがった表情をみせてくれます。

杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.7 <br />「S.H.Figuarts アベンジャーズシリーズ」

キャプテン・アメリカもすべての映画でコスチュームを変えていますがコミックのイメージに一番近いのは、この『アベンジャーズ』版。

杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.7 <br />「S.H.Figuarts アベンジャーズシリーズ」

キャプテン・アメリカのフィギュアは世界中、そして沢山のメーカーが出していますが、映画の中でも印象的な“警官たちに指示するキャプテン”のシーンを楽しめるフィギュアは世界でもこれだけでしょう(笑)。

杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.7 <br />「S.H.Figuarts アベンジャーズシリーズ」

ハルクにいたっても『アベンジャーズ:エンドゲーム』では、すっかり“いい人”になっていました。

杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.7 <br />「S.H.Figuarts アベンジャーズシリーズ」

ワイルドでモンスター感のある方が好きという方はやっぱりこのハルクですね。キャプテン・アメリカに「暴れてくれ」と言われてニヤリとするあの忘れがたい表情もセットされています。

杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.7 <br />「S.H.Figuarts アベンジャーズシリーズ」

この3体で、伝説の“ニューヨークの戦い(『アベンジャーズ』のクライマックス)”を再現してもいいかもしれません。

今回の4体の中で、一つだけ毛色が違うのはアイアンマンのフィギュア。

杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.7 <br />「S.H.Figuarts アベンジャーズシリーズ」

マーク6版ですがアイアンマンは“ニューヨークの戦い”においてマーク7で参戦しています。
マーク6姿は前半での登場。ただしアイアンマンとソーが戦う、というファンが観たかった最初の見せ場シーンではこのマーク6を装着しているのです!なのでソー対アイアンマンの名勝負を演出してみてはどうでしょう。

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またリパルサーやレーザーエファクトパーツもついているので飛行シーンや光線攻撃も楽しめます。光線技のヒーローの場合、こういうアイテムがついているのは嬉しい。

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今回の4体を並べてみると、それぞれが違った魅力を持つフィギュアであることがわかります。
それはやはり『アベンジャーズ』が “違った個性を持ったヒーローの集まり”だからでしょう。だから自分が共感できるヒーローを見つけることができる。自分が推せるヒーローと出会えるのがアベンジャーズやMCUの楽しみ方。まずは自分がピンとくるヒーローからアッセンブルを開始してみてはいかがでしょうか?

Text: 杉山すぴ豊

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